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巧は、「立派なお仕事」なんて、自分にはできそうもない、と思う。
ヒーローもお医者さんも、誰かに呼び出されたら、自分がどんなに疲れていても、ごはんを食べていなくても、眠くても、すぐに出かけて行って、人を助けないといけない。
巧は、もっと自分勝手に生きていきたいのだ。
だから、自分はお医者さんには向いていないと、自分で思っている。
巧の家は、田舎の市内でもそのまた田舎だから、近所で歩いて行ける病院というと、おじいちゃんの病院くらいしかない。
患者さんや近所の人たちはみんな、お父さんやおじいちゃんを頼って、あてにしている。
特におじいちゃんのことは、近所の人みんなが尊敬しているみたいだ。
だからおばあちゃんは、「ねむいたすくさん」を恥ずかしいと思うのかもしれない。
たすくさんもおじいちゃんも、「立派な人」じゃないといけないのだ。
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