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「!?」
で、デカい!!
何がって、アレが。
男性のシンボル、敢えて言わないけど。
別に僕のが小さいとかじゃない。普通だ、多分。
奴のが破格なんだ。
例えるなら『畑でうっかり収穫し忘れて、大きく育ちすぎたキュウリ』――って何考えてんだ僕は!
「なんだよ」
「いや、別に」
他人のソレって、大人になってから見る機会ないだろ?
だから物珍しさでついつい。
んでもって慌てて視線を逸らしたら、さらに怪訝そうに見られた。
「もしかして、気にしてんのか」
「な、何をだよ」
すると彼は、至極真面目な顔で頷く。
「チ●コの大きい小さいなんて、気にしなくていいんだぜ?」
「うるさいッ、このクソ童貞っ!」
「痛てぇっ、引っ掻くなよぉ」
……コイツ、ほんとバカなんじゃないのか。
しかも図星だったのが、ムカつく。
やっぱり嫌いだ、コイツ。
睨みつければ、何故か穏やかな笑みで返される。
ムカつくし、訳わかんない。
「ルベルの首輪は外れないのか」
言われて、気が付く。
あぁ、この奴隷の証。
触れると粗雑な作りに見えて、案外がっちり首を捕らえている。
「これ外すには、君の父親の許可が必要だな」
しかもそれだけじゃない。
手続きも面倒で、そもそも外す前提に作られてるかすら疑問だ。
一度奴隷に身を落とした人間が、這い上がるのは難しいってことだろう。
「でも俺と結婚すれば、外してもらえるんだろ?」
「別に君とは、限定してなかったぜ」
顔を歪めて答えれば、直ぐに落胆した顔をする。
――コイツ、本当に僕と結婚したいんだな。
言っちゃあ悪いが、正直理解不能。
気持ち悪いとまでは思わないが、てんで分からない。
「先に行ってる」
そんな僕に、彼はそう言い捨てて浴室へ向かった。
その後ろ姿は、やっぱりムカつくくらい立派だ。
「は、早く来いよ」
振り向かず。でも少しどもるものだから、おかしくなる。
「分かったよ、ダーリン」
なんて冗談を言ったら、奴は盛大にすっ転んだ――。
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