6.逃亡者とショタ→決闘?

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……身体が、ビクともしない。 体重かけられていると言っても、この体格差だぞ。 なのに、何故。 手を触れられてない両腕まで、動かない。 「くそっ、拘束魔法か!」 「うん。そのベッドに掛けといたよ。横になったら発動するんだ」 「どういうつもりだよッ、許さんぞ!」 「『どういうつもり』って。アンタを、オレのモノにするつもりだけど?」 「!?」 それってつまり。 嫌な予感に、喉が引き攣れる。 まさかこのまま、レイプされるってことじゃ――。 恐怖と、怒りで頭の芯が焼き切れそうな感覚で身震いした。 「せ、性奴隷だからか。僕が」 だから好きにしていいと? 悔しくて歯噛みする僕に、彼は軽く首を横に振って答えた。 「違う違う。まさかアンタ、分かってないの? 自分が何者かって。どうして皆がアンタを欲しがるのか」 「どういう事だ」 僕は僕だ。 こう言いたくはないが、魔法使いとか魔物とかでなく平凡な。 少し剣の腕に覚えがあるレベルの人間の男。 それがなんで。 「訳わかんない事言ってんじゃないッ、このクソガキッ!」 唯一自由になる、瞳で彼を睨みつけ怒鳴り付ける。 だって僕は、自身の運命に悲観するほど悲劇のヒーローでもヒロインでもないから。 こうなったら、徹底的に抗ってやるッッ! ……とは言っても。 いくら懸命に動かそうとしても、手足はまるで見えない鎖に繋がれたみたいに重い。 暴れれば暴れるほど、それはまるで意志を持っているかのように、いっそう絡みついてくる。 「くそぉぉッ、この野郎! 離しやがれ、ガキのクセに」 「ガキじゃないぜ、こいつ」 「!?」 思わぬ所から声がした。 驚いて、その方向に視線を走らせる。 すると――。 「よぉ、ケルタ」 「エト様」 部屋の入口。 壁に寄りかかり、のんびりと声を掛けたのは魔王の息子だった。 対するケルタは、先程の余裕の表情とは一転。 険しい顔で睨みつけている。 「俺にもよく分かんねぇけどさぁ」 エトは、そう呟くとゆっくりとベッドに近付いてくる。 迫るような緊張感。 それはこの二人だけでなく、拘束された僕自身も感じていた。 「この喧嘩は、なんだか買わないといけねぇ気がするんだよな。ケルタ、お前もだろ?」 そう問われた少年は。 「まぁ、そうですね。でも」 と、口元だけ薄く笑い言葉を次ぐ。 「エト様とて、手加減はしませんよ?」 少年の顔が、歪んだ。
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