541人が本棚に入れています
本棚に追加
2.性奴隷→お買い上げ
「あのぅ、すいません」
言葉通り、申し訳無さそうな声。
汚物消毒君が、それにぞんざいに答え振り向く。
「あぁ? 困るなぁお客さん――んん゙ッ!?」
「どうした。あの、お客様。奴隷買いたいなら、表の競売場で――ヒィッ!!」
男達が、何かを見上げて固まっている。
僕の方からは檻と二人が邪魔で見えないが。
「あ、あ、あのっ、何をお探しで」
「うん。少し奴隷をね、探してて。競売場だと邪魔になっちゃうんだよ……ほら」
男達が腰を抜かしたようにへたり込む。
そこでようやく、声の主の姿が見えた。
「私はこのとおり、大きいからね」
少し屈んでみせたその男が、デカい。
……2mは超えてるだろうって身長。
どこの戦闘民族だ? まさか●紋戦士? って程の筋骨隆々な身体。
そしてそこに乗った、穏やかな優男風の顔。
「この子、買いたいんだけど」
僕の目を真っ直ぐに見て、そう言った。
――こっち見んな!
そう腹で思ってても、言葉にでない。
あまりにもデカ過ぎるし、バランス悪すぎだからだ。ぶん殴られたら、首ごと持ってかれそう。
ほら見ろ、汚物消毒君なんて内股で震えてんぞ。
案外カマっぽい奴なんだな、とザマァした。
「し、しかしこれは。まだ仕込み前ですし」
「オイオイオイオイッ! ナニ仕込もうとしてんだ、この変態オヤジめ!」
思わずカッとなって怒鳴りつける。
すると、穏やかな男の顔が満面の笑みを浮かべた。
「うん。元気がいいね。すぐに欲しいな」
「すぐって。しかし」
「あのね『すぐ欲しいな』」
戦闘民族モドキの目が、スっと細くなる。
すぐに震えがるチビデブおやじだが、そこは商売人。
難しい顔で切り出した。
「は、はぁ……値段が……」
「通常の三倍は出すよ」
「しかしねぇ。こいつは処女で、この通り見た目だけは良いですから」
「うーん……そっか。じゃあ」
男の手が、服のポケットを雑に探る。
そしてすぐに、何やら布袋を落とした。
――ガッシャン!
大きな音。
中には重い金貨がたんまりと詰まった音だ。
「とりあえず、これでどうだろう」
「……」
チビデブおやじは、恐る恐る中を確かめる。
そして数秒うつむく。
「譲って貰えるかな?」
「よ、喜んで」
こうして、僕の買取先が決まってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!