7.決闘→剣の稽古

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「なぁルベル」 「っ、触んなよ!」 突然、彼の大きな手が僕の腕に触れた。 また良からぬ事をされるのでは、と警戒心を露わにする。 「ルベルもしかして、まだ怒ってんのかよ。今朝のこと」 まるで叱られた犬のようだ、と思う。 耳があれば、シュンと垂れているのかもしれない。 まぁ。全っ然、可愛くないが。 「怒ってる。全方向にな」 このホモ共にも。 訳わかんない、この運命にも。 だからって負ける気はないが。 「おい、エト」 「なんだよ」 また文句を言われると思ったのだろう、デカい身体を精一杯縮こめる姿には、少しだけ笑えた。 「お前って、ゲイなわけ?」 「と、唐突だな。別にそういうんじゃねぇよ。ただ」 「ただ?」 「その、しかめっ面が、ええっと、結構好き」 「あ?」 ――なんだそりゃ。 コイツ、僕が怒って喜んでるのかよ。 いよいよ変な奴だな、とドン引きしてるハズなのに。 「ルベル?」 「あ、いや」 なんだか、むしろ悪い気はしないというか……面白がっている自分がいた。 「正直、俺自身もよく分かんねぇよ」 少し不貞腐れたような声と顔で、彼は肩を竦める。 「でもケルタがお前に触れてたら、すげぇムカついた」 「男の嫉妬ってやつ? 醜いぞ」 「茶化すなよ。あー。やっぱり難しい事は、俺には分かんねぇや」 そう言って彼は、困ったように笑う。 僕は何故か、そんなエトをバカにする気が失せた。 「おいエト。ちょっと時間あるか?」 「えっ。まぁ、あるぜ」 ――とびきり良い事を思い付いた。 そんな予感を胸に、僕は言葉を紡ぐ。 「剣の稽古(けいこ)、やらないか?」 少し考えて彼は『いいけど』と、ためらいがちに頷いた。
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