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3.お買い上げ→黄金の右腕がうなる
連れてこられた場所は、見知らぬ風景の見知らぬ街。さらに見知らぬ屋敷の前で。
「こ、ここが」
デカすぎる。
いや、この男の事じゃない。
この男もデカいけど、 今はそっちじゃなくて。
「我が家にようこそ」
満面の笑みで、レクスは僕を振り返る。
――我が家っつーか。ほとんど城だな。
そう、城だ。
どっちかと言うと魔城とか、そっち系だ。
間違っても白亜の城じゃない。
天を仰ぐように見上げれば、石造りに見えるそれには趣味の悪い装飾が施してある。
コウモリと小人を足したみたいな、間違っても沖縄のシーサーじゃない。
前世でもファンタジーモノのゲームや漫画で見た『魔王の城』ってやつだ。
「ただいまー」
彼が、能天気に声を掛ける。
するとそれに応えるように、重々しい門が自動ドアみたく開く。
「よし行こっか」
「えっ、あ、はい」
僕は一抹の不安というか、嫌な予感いっぱいで彼の後を追った。
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