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「み、水が飲みたい。誰か助けてくれ」
振り絞る声で助けを呼ぶが返事は無かった
身体からにじみ出る汗と血液が余計、のどの渇きを促した。汗水一粒も勿体ないと思いながら奥へ進むと。
「川のせせらぎが聞こえる」
俺は焦る気持ちを抑えきれず、音のする方へ歩いて行くが、急激にめまいと痺れに襲われ
てしまった。
「だ、脱水症状だ」
不覚にも澄んだ水が緩やかに流れる川の目の前で意識を失いかけてしまうと‥
「これ‥ 」
俺の目の前に、錆び付いた鉄のコップに水を酌んでくれた一人の女性が現れた。俺は最後の力を振り絞り、水を一気に飲み干した。
その後、俺が徐々に意識を取り戻すまで彼女は膝枕をして介抱してくれた。爽やかな風に包まれ、綺麗な黒髪と愛くるしい黒眼が特徴の彼女は恐らく18歳位だろう。
俺がゆっくりと瞼を開けると彼女はあどけない笑顔で
「リュウ、生きていたのね」
「り、リュウ? 」
これが俺の名前なのか? それすら解らない俺は無意識に彼女を見つめると涙を流して、俺の顔を優しくさすった。
俺はどうやらリュウという人物みたいだ。だが彼女は恥ずかしいのかあまり言葉を発することが無かった。俺はとにかく彼女の名前が知りたい。
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