第1話

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第1話

「こ、ここは一体何処だ? 」 俺は狭くて暗い洞窟の中でどうやら気を失っていたようだ。俺は頭に痛みを感じ後頭部を軽く触ると血がベッタリと付着した。 きしむような身体の痛みと、頭痛。俺はとにかく上着を脱いで身体の隅々を触るが特に致命傷を負っていなかったことでそっと胸をなで下ろした。 だが肝心なことに気付いた。 「お、俺は一体誰だ? どうしてここにいるんだ」 俺は血の付いた手で顔を何度もさすり思い出そうとするが、頭痛に見舞われる。 そう、俺は全ての記憶をなくしてしまっていた。 とにかく尋常では無い様子に辺りを警戒しながら洞窟を出るとそこには衝撃的な光景が広がっていた。 「何だ‥ この死体の山は」 辺りには火薬の焦げた匂いと血の生臭さ、無残な姿で横たわる死体の山で埋め尽くされた広場を目の当たりにした俺は思わず、嘔吐してしまう。 自分の服装と死体から推測するに皆、兵士だ。俺はどこかの部隊に所属しており、敵部隊の襲撃を受け、俺一人だけ奇跡的に生き残ったことは推測できた。だが思い出せない 激しい頭痛がまるで意図的に俺の思考をシャットダウンしているようだ。 「俺はここで一体何をしていたんだ? それに何があったんだ‥ 」 俺は取りあえず、脚を引きずりながらゆっくりと林の中へ入っていった。この時、怪我による出血で異様なまでののどの渇きに苦しまされた。
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