厳しい父

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私の名前は『那鳳(なほ)』、静岡県富士宮市に自宅があって、富士市にある県立高校で演劇部に所属する3年生の女子だ。 高校を卒業したら大学に行こうと考えているけれど、私自身それが自分の本当にやりたいことなのか半信半疑の状態だ。 父と母は自分の将来の道が決まっていないなら大学へ行きなさいと言うけれど、今の私は父と母が言うことに逆らわずに従うような態度をとっている。 演劇部は夏休み明けの9月の文化祭で最後の公演となり、私たち3年生は引退する。 今はあまり先のことを考えずに目の前の公演のことだけを考えて、私は演劇部の活動に専念して頑張っていた。 暑さが増す7月下旬、1学期の期末試験が終わって夏休みに突入した。 演劇部の練習は夏休み中も行われ、私は受験勉強どころではなく、毎日の演劇部の練習でくたくたに疲れ切っていた。 演劇部の練習を終えて自宅に帰ると、そんな疲れ切った私の姿を見て母が、 「少しは勉強しなさい。  大学受からなくてもいいの?」 と言ってくるので、私は母とあまり深くかかわりたくなくて、 「うん、分かったよ!」 と言って、素直に聞いたふりをして母をスルーしていた。 夏休み中の練習は、それなりに辛かったけれど、とても充実した感じがあって私の最後の夏としてはとても満足するものがあった。 夏休みが終わると、高校全体が学園祭の準備に取り掛かった。 私の所属する演劇部も舞台で使う道具の準備や公演前の演劇リハーサルで、とてもバタバタと慌ただしい時間が過ぎていった。 でも、こんなバタバタと慌ただしい時間も私にとっては苦にならなかった。
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