隣の芝生

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もう何度目か分からない彼女との飲みで、その日は珍しく深酒をしてしまって、気付いたら朝で重い頭を持ち上げた。 隣に人の気配がして君かと思って何気なく見た先に、彼女がいて一気に血の気が引いた。 幸い服は着ていたし、彼女にも確認したがやましいことはなかったらしい。ただ深酒した僕を彼女が送ってくれて、そのために終電がなくなったのでそのまま泊まったとなんとも情けない話であった。 迷惑しかかけていないので文句を言える立場ではない。 ないが、タクシーという手はなかったのかとか、同じベッドで寝る必要はあったのかとか、色々言いたい。言わないけど。 今更ながら改めて事の重大性に血の気が引く僕に、追い討ちをかけるようにドアが開いた。 君が来る時はいつでも連絡してくるはずだ。どこにやったか分からない携帯にはきっと君からの連絡が入っているのだろう。 確認していない僕のミスだ。 ワンルームなのだから、ドアを開ければ中が見えても不思議じゃない。 そうだね。そこで僕と君の間に彼女さえいなければ、この5年でよく見た光景だったかもしれない。 フリーズした君と、そんな目線の先にいる僕と君を見て慌てる彼女。声にならない悲鳴をあげる僕。 カオスだ。主に僕の頭の中が。 ・
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