隣の芝生

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つい再び思考回路が固まっていた僕が今度はガックリと項垂れたところに、そっと優しい手が添えられる。でもそれが君だったらなんて思う僕は最低なんだろうな…。 慌てながら励まし、一緒に弁解してくれると言う彼女を沈んだ気持ちで宥めて謝って、今日のところはお引き取りいただいた。いや、もう2人で会うことはないと思うけれど。 修羅場の現場である部屋に1人戻り、ゴロンと大の字で転がる。 なんだ。疲れた。いや、自業自得なのだけれど。 しばらく放心してからノソノソと動き出し、行方不明だった携帯電話を救出。 開けば予想通り、君からの連絡が残っていて思わず目を覆って天を仰いだ。 今更の現実逃避である。 大きく息を吐いてから、改めて現実と向き合う。何にせよ君と会って話をしなければ。 謝罪と共にそう君に連絡してみた。 会ってくれるのだろうか、という不安を胸に君の連絡を待つと意外にも早めの返事が来た。 そして見た君の他人行儀な文面に君の怒りを改めて感じる。 でも会ってくれるのだから君は優しい。 ・
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