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「彼女と何もなかったかどうかなんて、確かめようがありません。貴方が私を蔑ろにして、私の信頼を裏切った。それが全てです。」
待って。待ってくれ。そんな…。
「これから人生を共にするのに、私の話を聞いてくれない人とは、やっていけないでしょう?」
あぁ。あの時、君の話を宥めて流したのは、間違いなく僕なのだ。
君はすでにチャンスをくれていた。なのに僕は…。
「すまない。本当に、僕は君に甘えてばがりだったんだな…。」
「そんな綺麗事言わないで。貴方は私を蔑ろにしていただけだわ。見下していたのね、酷い人。」
君の容赦のない追撃に、反論したかったのだけれど。さっきまでの笑顔が、本当に傷付いた顔になっていたから。
僕はまた謝ることしかできなかった。
「今までありがとうございました。サヨウナラ。」
もう終わりとばかりに席を立ち、去っていく君を追いかけたいのに。席に張り付いたように体が動かなくて。
しばらくぼーっと過ごしたのちに、のそのそと部屋に帰る。
朝出た時と何一つ変わっていないはずなのに、がらんとして見えたのは間違いなく、僕の気持ちの問題だろう。
ボフンっとベッドに横たわる。喪失感が半端ない。
彼女の存在はこんなにも僕を満たしていたのか。なくなってからしか理解できないとは。
本当に僕は馬鹿だ。
彼女と別れるなんて考えたこともなかった。どうして僕は…。
あぁ、君を愛してる。
〈end〉
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