灰かぶり騎士

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「やったぞ!」 森で迷っているのになぜ喜んでいるかというと、それは彼が道につけていた目印に秘密がありました。 彼はいつも薬草を揚げた際に出る天かすを来た道に撒いていました。帰るときはその天かすを目印に道を戻っていました。いつもは天かすが不味すぎて、森に住む野鳥やリス、うさぎたち、虫さえも食べようとしませんでした。 ところがどうでしょう。今日はきれいさっぱり食べられているではありませんか。 美味しい天かすはつまり「美味しい薬」の完成を意味します。ついに念願が叶ったのです。早く帰って薬の味を確かめたい! しかし医者は困りました。帰り道の目印が消失したのですから当然です。嬉しさと不安が混ぜこぜになった妙な気持ちになりました。
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