自分の一番の理解者は自分

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 ――ということは、お前はあの枯葉を追うんだな?  目を開けると、いつの間にか枯葉は僕の頭上を超えて、再び浮かび上がろうとしていた。先ほどよりもボロボロになっているような気がした。  ああ追うよ、追ってやるよ。  そう意気込んだが、僕は枯葉を追うことができなかった。口では追うと言って、頭では追わなくてはいけないと思っていても、足がすくんで、一歩が踏み出せない。  葉っぱ一枚、枯れていて、しかもボロボロだ。今更、手遅れ、無駄、無理、たかが。  僕は言われた通り、必死に探していた。  決して才能があるとは思わない。自分が主人公だとも思わない。だけど、どこかで、ほんの少しだけ、自分を中心にして世界が回っているのではないかって思っていた。  自分は、本当はできるやつで、できないのは周りが悪い、環境が悪い、相手が悪い、自分は悪くない。そう言い訳をして、できない理由を必死に探して、自分を守ってきた。  だけどそうじゃない。それじゃ、だめなんだ。自分を中心にして世界を回したいのなら、必死になって頑張って、もがき続けなければいけないんだ。  僕は必死に、両手をかき回し、あの枯葉を再び追いかけた。何度も諦めて、何度も逃げようとした。ひどくボロボロで、枯れていて、不格好だけど、そんなのは理由にならない。  理由にしたら何も変わらない。喉下が圧迫されるような苦しさや、両手両足がうまく水をかけないで空回りしているかっこ悪さ、苦痛にゆがんでいて変な顔をしている恥ずかしさ。  でも一番は何もしていない、しようとしないことこそが、苦しくて、かっこ悪くて、恥ずかしいことなんだと思う。  光が差し込んでいた。水面を屈折して、いくつもの光が枯葉を照らしているのが見えてきた。もう少しだと思った。  はじめから諦めて、逃げ出して、投げ出して、できない理由を探して、まるで世界に嫌われているかのように思っていた。でも、違った。僕が世界を、嫌っていたんだ。だから。  僕は苦しくてだるい身体に鞭を入れた。目に水が入り込んで痛い。それでも必死になって、あの枯葉を、決して見失わないように、僕は最後までかっこ悪くもがいた。
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