新魔王城の新メンバー

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「ウチは冒険者だったんにゃけど、盗賊に捕まったにゃ。けど頑張って逃げてきたにゃ」 「簡潔すぎるだろ」  もうちょっと詳しく話せよ。 「猫は頭が良くにゃいにゃ」 「頭が悪いのはお前だけだろ」  猫の獣人族がそんなに頭が悪いという話は聞いたことがない。 「それは置いといて、助けてもらったからお礼くらいはするにゃ」 「じゃあ――」  その盗賊たちのアジトへの案内を頼もうとした俺の、機先を制してジュディが言った。 「私たち狩りの獲物を探してるんですけど」 「ウチはおいしくにゃいにゃ!」  慌てた表情のデリアに、ドン引きする。  ……誰が獣人を食うんだ? 「それは残念です」  ……ジュディか。  本気で残念そうな表情のジュディに、俺はさらにドン引きする。 「冗談に決まってるじゃないですか」 「お前ならやりかねんと思ったんだ」 「失礼ですね。二足歩行してるものは食べませんよ。で、デリアさん。モンスターが集まってる場所とか、わかりませ 「わかるにゃ!」  ――そうですか」  食われる恐怖があるからか、デリアは超食い気味の返事。 「猫の鼻をなめるにゃよ。今多いのはこっちのほうにゃ」  そう言ってデリアが俺たちを案内したのは…… 「スライムばっかじゃないですか」    本当に頭が悪いんだろうな。 「獣人はスライムを食べるんですか?」 「た、食べるにゃ」  ジュディにギロリと睨まれて、慌てて答えるデリア。  追い込まれていく様子は、普段の俺の姿を見ているようだ。  ……ところで、なんであんなに怯えてるんだろうな?  信じているのかいないのか、魔王と名乗った俺には全く怯えていないのに。 「え? 美味しいんですか?」  与しやすしと見たらしい、ジュディは後戻りできないところまで追い込んでいく。  その光景にはどこか既視感があるような……。   「も、もちろんにゃ!」    謝ればいいのに、胸を張るデリア。  そのこめかみを汗が伝っていく。 「じゃあ持って帰るので、料理してみてください。美味しそうだったら食べてみます」  まさかデリアを追い込んだ理由は、スライム料理が食べたいから、じゃないだろうな……。  そんな疑いを抱いてしまうほどに、ジュディは嬉しそうな表情をしている。 「さあ、余計なことを考えてないでいくつか取ってくださいよ」 「もしかしてジュディお前、スライム触れないのか?」    実はスライムには弱酸性がある。  下手に触ると手がかぶれる、そう誰かが言っていたのを思い出し、煽ってみる俺。   「私の手に恨みでもあるんですか?」  やっぱり心が読まれるか。  結局いたずらが成功したのは、最初の一度のみである。 「もう引っかかりませんよ? またキスされ 「さあデリア、俺たちでも食えるモンスターがいるとこに連れてってくれよ」 「了解にゃ」    ジュディの言葉は、デリアには聞こえてなかったらしく、あっさりデリアは了承する。    次にデリアが俺たちを連れて向かったのは、 「ドラゴンにしてはちっちゃいですね」  ワイバーンの巣。  俺はデリアの知能評価をさらに下げる。  俺の庶民からの人気並みの低空飛行である。 「それ自分で言ってて虚しくならないんですか?」 「昔はなったがな。お前が召喚されたのが運が悪かったともう諦めた」  なぜジュディが召喚されてきたのかは未だに謎のままだが。 「あなたが幼女を願ったんじゃないですか?」 「お前は幼女って年じゃないだろ」 「まだまだ現役と言い張るお婆さんみたいに言わないでくれません?」 「お前は自分が幼女だと主張するつもりか?」 「まあ、体格的には違和感はないですよね?」 「それ言って虚しくならない?」  う、とジュディは黙り込む。  今回は痛み分けと言ったとこだろう。 「あなたの勝ちでいいですよ。たまには勝利を味わわせてあげたいですから」 「よくそんな高慢に負けを認められるな……」
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