5人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
16、カット
「カット! OK」
暗闇に、大きな声が響いた。
突然、辺りは明るくなった。
「いいのが撮れたよ。星空ももばっちりだし。迫真の演技に、カチンコ忘れるとこだったよ」
と、監督さんは、大きな声でとても興奮している。
ベンチで父役の男優さんも目を開けて、立ち上がった。
「お疲れ様。目をつむったままだけど、演技が見えてるようだったよ。思わず、涙が零れそうだったな。アップだとNGくらっちゃうからね」
「あ、はい。ありがとうございます」
「スタッフさんもお疲れ。それじゃ、さっと片付けて、ホテルで一杯やりましょう」
監督さんの声にみんなの顔はほころんだ。
私は、最後にもう一度、星空を見上げ、小さく投げキッスをした。
最初のコメントを投稿しよう!