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俺は依子を殺しちまった。
殺すつもりなんてなかったのに。
——わたしがいなくちゃ何もできない。
“ほんと、『赤ちゃん』みたいだね”
あれにプッツン、キレた後、
おまえが俺の服をつかんで、
“ちゃんとわたしの方、見てよっ!” って、
引っぱってきたのを突き飛ばして。
派手な転け方はしたけれど、
おまえがあんなにあっけなく、
死んじまうなんて思わなかった。
頭を打ってからうずくまって、
しばらくの間、無視していたら、
おまえはぴくりともしなくなった。
“おい、救急車呼ぶか……?” って、
怖くなって肩に触れてみたら。
依子はごろんと転がって、
頭から流れ出た血が床に、こすったような跡を付けた。
目の前がまっ暗になるのって、
一瞬だけど、本当なんだ。
それから俺は考えだした。
ガタガタと、震えながら。
(これからどうすればいいんだろう……)
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