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「はぁ」
宝物庫の中、重いため息が流れる。
「なんで、毎度持って行ってしまうんでしょうか」
宝物庫の主、綿摘 命都は椅子に項垂れながら、先ほどの事件の犯人。セイラ・アイラの事を考えていた。
セイラ・アイラと呼ばれる少女はこの組織の中でも『聖女』というものであって、様々な事件の捜査権、調査など禁書などの閲覧ができる。実質、最高権力のようなものであった。
だが、そのような最高権力のおかげで当の本人、宝物庫の管理人 命都は頭を痛めており、先日の健康診断ではストレスのせいで大幅に体調が変化していた。それに医者からも、これ以上、悪くなるのはよろしくない、という忠告を貰ったばかりであり。今すぐでも職場変えろ見たいなことを周りの人たちから言われる始末である。
「……頭痛薬あるかな?」
痛み始めた頭痛を抑えるために命都は、机の引き出しから頭痛薬と書かれ白いテープを張られたタブレット菓子を取り上げた。
タブレットの箱をタンタンっ、とリズミカルな音を鳴らしながら叩くと、白い錠剤が二つほど出てくると命都はそのまま口の中へと入れる。
「……よし業務再開しますか」
口に含んだ錠剤が解けて消えると、命都は先ほどよりはっきりした目で業務へと戻り始める。
先ほど没収した宝物具を番号札が表示されている棚に入れ、パスワードをかけると、きちんとロックをかける。レベルが低いものが持ち出されたとはいえ危険なものがたくさん眠るこの場所ではこうやって二度、パスを繋げていないと、簡単に持ち出され悪用されてしまう。
そのようなことを恐れ、命都は強く深く縛り付ける。
え、それでも持っていかれた?
それはしょうがないです。組織の中でもあらゆる権利が与えられているいわば、全権がある様な人物ですから。簡単に持ち出せてしまいます。
だけども例えその様なことがあろうとも、命都の業務は変わらず持ち出された宝物具を厳しく取締り管理することだった。
例え、天地が逆になっても命都はそれをやめないだろう。
「面倒臭い!!」
だが命都は言うもと同じ様な業務を終え、執務をしようとした瞬間、大きな声で叫び始める。
なぜなら、彼の机の上に置かれている端末にはメールが受信されており、既にそのメールは50件近く溜まっており、それが全てセイラの始末書だとは誰だろうとも思わない。毎日毎日、日々重なり続ける彼女の始末書は命都にとっては胃の負担になるものだった。
「……あぁ、胃が痛いし頭も痛い、今度、アオさんに薬を貰おうかな」
命都はそう言いながら眉間に皺を寄せながら目の前に置かれた始末書に記入を進めていた。
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