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なんでも大学生だと言っていたけど、少し違うようだ。
案の定。すぐに小雨が降り出した。
まるで彼と別れてからは、味の抜けたただ黒いだけのコーヒーを客へ渡しているかのような感覚だった。小雨から大降りとなり、客が増えてきた。
どの客も私を気にしない。
どの客にも私は気にしなかった。
ただ、彼の言った。
「最近、キレイになった?」
その言葉が頭から離れなかった。
週明けにまた彼と出会った。
いつも事前に会う約束なんかしないのに、彼とは良いタイミングで出会うのだ。
初めて彼と出会った駅だった。
そこは私の通う専門学校から気晴らしに行く公園のある駅だ。
お気に入りの公園は、いつもマークしている。
人が少なく。
開放的で桜の木が植えてあり、春が好きな私の特にお気に入りは、桜の花弁が多く落ちるところ。
そして、お弁当の買いやすい、近くにコンビニがある公園だ。
彼は私の顔をその日は、あまり見なかったし、私も俯いていた。
桜の木々から花弁が降りだした。
「今度、海外のマーシャルアーツの国際試合にでるんだ」
そう、彼の大学はあらゆる武道で有名な大学だった。
「いつ頃。戻るの?」
「三年は向こうにいる」
「いってらっしゃい。待ってるから」
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