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彼ははにかんで、久しぶりの笑顔になった。
無理をしていない笑顔。
誰でも明るくなれる笑顔。
私の瞳をしっかりと見つめ。
「ああ、やっぱり最近キレイになったよ。ぼくが帰ったら……」
「ええ……わかってるわ。だから私は待ってるの……どこかの公園で……」
そういえば、ニキビが消える化粧品を彼が買ってくれたんだ。
でも、いつ頃使ったのか?
何のために使ったのか?
つい最近まで思ってもいなかった。
桜の木々からの花弁が降りしきる。この公園には雑踏が少しも聞こえない。耳に入るのは彼の優しく弾んだ声だけだ……。
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