2020年6月20日(1709)

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 私は顔が赤くなっていても、気持ち悪くなっているとはいっても、記憶を失くすことはないし、酔っ払い特有の高揚感や箍の外れ方はない。  ずっと、冷静な自分のまま。  酒に弱い人間は、酒に溺れることができないのだ。  家に着くまでには気持ち悪さもなくなり、すっかり元の自分に戻ったところで部屋のソファにダイブした。  ゆっくりと身体を回転させ、暗く、白い天井を見上げる。  何か違和感を覚え、正体を探る。電気を点けていないのだとわかった途端、可笑しくなって笑った。  どうして私はこうなのだろう。  酔っているからではなく、ただ単に不注意で部屋の電気を点け忘れている。  私には、こういう雑なところがたくさんあった。  どれだけ気を付けていても、ミスを出す。仕事でもそうだ。この間の商談の時も、自分の中では完璧なつもりだった。  落ち着けと、丁寧にやれと周りから言われるが、本人は落ち着いているし、丁寧にやっているつもりなのだ。  だから、どうしようもない。  どうしようも、ないのだ。
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