2人が本棚に入れています
本棚に追加
靴を脱がないまま、音を立てない足運びで廊下を進む。
感覚をそばだてて部屋の中を探ってみたが、今のところ侵入者の気配はどこにもない。
──凛には窓を開けるなって言ってある。こんな夜更けに窓を開けっぱなしにするような不用心なことは、さすがにしないはず……
よほどの手練れが来たのか。
もしや実家から差し向けられた刺客か。
そうであるならば凛の命は……
「……」
胸中で渦巻く感情を全て心の奥へ押し込み、呼吸一つで心を鎮める。
それと同時に抄は、ベランダへ続く窓がある部屋に踏み込んだ。
日本刀の鞘を払い、いつもは押し殺している『欲』を解放する。
最初のコメントを投稿しよう!