Lycoris −星空色の記憶−

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 靴を脱がないまま、音を立てない足運びで廊下を進む。  感覚をそばだてて部屋の中を探ってみたが、今のところ侵入者の気配はどこにもない。   ──凛には窓を開けるなって言ってある。こんな夜更けに窓を開けっぱなしにするような不用心なことは、さすがにしないはず……  よほどの手練れが来たのか。  もしや実家から差し向けられた刺客か。  そうであるならば凛の命は…… 「……」  胸中で渦巻く感情を全て心の奥へ押し込み、呼吸一つで心を鎮める。  それと同時に抄は、ベランダへ続く窓がある部屋に踏み込んだ。  日本刀の鞘を払い、いつもは押し殺している『欲』を解放する。
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