閑話休題・蒔田一臣の煩悶と面倒/あの、そろそろいいっすか、宗方さん

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 ――皆の輪の中心にいる蒔田一臣を、宗方は楽しげに見ていた。あー面白い。蒔田ほどいじりがいのあるやつはいないんだよなあ。座敷の窓際にいたはずがいつの間にか座敷の真ん中でみんなに突っ込まれる有様。蒔田様様。  騒ぎが落ち着くと彼は宗方のほうに来る。――足。一生痛むんだろうなああの歩き方……。まあ当人はそんなのハンデだなんて思っちゃなさそうだけど。あんなに愛らしい奥様がいるのだから。無敵の蒔田なのである。 「――じゃあ。お先です」 「頑張りなー」手をひらひらさせ宗方。彼は、思いのほか早く帰される安堵の感情も蒔田の表情のなかに認めた。――と。バッグのなかに入れてあったのを思い出した。宗方は素早く取り出し「はいよ」と手渡す。  眠眠打破。
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