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帰ってきた母さんに、しばらく真昼を家に泊めたい、とお願いする。
母さんは詳しいことを聞く前に、二つ返事で「いいわよ」と返してくれた。
「まあ、そういう時もあるでしょ」
そういって深くは聞いてこなかった。
必要以上には首を突っ込んで来ないのは、本当にありがたい限りだ。
しばらくして、巴さんがボストンバッグを持って家にきた。
「とりあえず二、三日分の着替え。学校の鞄とかは明日学校で渡すって伝えといてもらえるかな?」
「わかりました」
真昼はシャワーを浴びた後、電池が切れたように俺の部屋のベットで眠り始めた。
まあ、汗だくであったことを考えるに、走って逃げてきたんだろう。おかげで話は聞けていないが。
「お見合いって、今日だったんですか?」
「うん。私と真昼は何も聞いてなくって、ごはん食べに行くって言われて連れていかれた先がーー」
「見合い会場だった、と」
「今思えばドレスコードがあるからと着替えさせられたり、お化粧されたりで、おかしなことばかりだったな」
どうりで、なんか真昼に似合わずめかし込んでるとは思った。つーか、その時点で疑問を覚えろ。
そこまでいってようやく気が付いた真昼は、「トイレに行く」と言ってそのまま逃げ出したらしい。
「相手方は?」
そんなことされては黙っていなかったのではないか? と尋ねてみる。
「……んー、まあ。ウチの両親の知り合いだなぁ、とは思った」
巴さんが何故か渋い顔してそういった。まあ、とにかく問題にはなってないらしい。
「じゃあ、よろしくね」
「まあ、やるだけやってみます」
帰っていく巴さんに頼りない返答をして見送ると、頭をガリガリと掻いた。
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