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「その激しい着メロいつになったら変えるの?もう数年前から言ってるけどこれ」
「うるさいわね。この曲は私の人生のテーマソングなのよ」
「うん。何回聞いても意味が分からないよ」
ミルクティーブラウンの男は、両掌を上に向け、さらに呆れを表情に押し出してため息をつく。
女はそれを気にも留めず、ポケットから取り出した携帯電話をスピーカーにしてから通話ボタンを押した。
「もしもし」
『もしもしこちら第六校舎屋上部隊ですー。対象が正門から五十メートル先の交差点で信号待ちをしているのを確認しましたー。転校初日から遅刻をかました鈍臭い対象は、その焦りからしきりに足踏みをしている模様でーす』
高めの女の声がスピーカーから飛び出してきたあと『おい、あいつ信号無視して走り出したぞ』と低めの男の声が続く。
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