Prologue

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『うわああん!!先輩にパワハラされましたああああ!!助けてくだ』 ブチッ。 寸分の迷いもなく通話を終了させた女は、こめかみに指をあて、その美しい顔を歪めている。 「校門飛び越えたかあ。なかなかやるね、転校生」 ミルクティーブラウンの男は何事も無かったかのように顎に手をあて、至極楽しそうに笑みを浮かべている。 「・・・・・・僕の調査書類からも、運動神経は申し分ないことが見て取れると思います」 片目を隠した男は既に完璧な無表情に戻っている。 「ほしいわね」 回転椅子に深く座り直しながら腕を組んだ女は、机の上に置いた書類を睨みながら呟く。 「とりあえず、来週の月曜日まで待とうか」 ミルクティーブラウンの男は形の良い唇で弧を描いて、にやりと笑った。 Prologue Fin.
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