100人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………俺が呼ばれた理由はわかんないですけど、冬吾は、生徒会入りの打診かなって思いました」
何かしら返答をしなければ許されない雰囲気。
おずおずと答えた俺の隣で冬吾がわかりやすく驚きつつ、会長様は感心したように眉を上げた。
いや、冬吾も気づけよ。それ以外になにがあるんだよ。
もう役員が選出されている今年はないにしても、次の選挙では絶対に冬吾の名前が上がると思う。
候補者が決まる仕組みなんて知らないから、もしかしたらめぼしい人には早い段階で声がかかるのかもしれない。
一番考えられる自然な理由はそれくらいしかなかった。
「いやいや、ないって。生徒会とか」
「家柄見ても人気見てもビジュアル見ても、選ばれても不思議じゃないだろ」
「そんなんで選ばれたくない」
「それは冬吾の気持ちだろ。今のは単純に周りから見たらって話」
「周りから見たらって……。でも俺、……確かにその3つは備えてるのかもしれないけど、今まで生徒会活動とか一度もしたことないし、成績だって大して良くないし……」
冬吾にしては珍しく後ろ向きな意見を言いながら俯く姿に少し驚いていると、黙って俺たちのやりとりを聞いていた会長が口を開いた。
「そこだな」
「「は?」」
「高橋を呼んだ理由」
最初のコメントを投稿しよう!