初恋

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数日後、テストも近いっていうのに委員会が長引いて、よりによってさっきまでは降ってなかった雨が委員会が終わったとたんに降り出した。それもけっこうな雨。もちろん傘なんて持ってない。バッグの中から当たり前のように折りたたみ傘を取り出すあのコたちが羨ましいというか、恨めしいというか。 生徒玄関でため息をついて空を見上げても一向に晴れる気配が感じられない。そんな中、アイツはやってきた。 「何やってんの、佐藤」 「そっちこそ。部活はテスト休みなんじゃないの?」 「俺は自主練。テストなんてカンケーねーの。お前こそ何してんの」 「見りゃわかるでしょ、雨が止むの待ってるの」 ふーん、といって中島はさっきの私のように空を見上げ、やはり当分止みそうにないと判断したのか私の横で立ちどまった。 「ねえ、テニス部の2年生レギュラーって、中島だけ?」 「当たり前だろ、他校の2年で俺に勝てる奴なんていねーよ」 「…すごいじゃん」 そういうと、中島が目を丸くして私のほうを向いた。なによ、というと、いやいつもならガキとかバカじゃんとかいうはずだから調子狂った、と中島はいった。じゃあやっぱり今の取り消すっていったら今度はウソウソ嬉しいって、といって顔をくしゃくしゃにして笑った。あ、今の笑った顔けっこう好きかも。子供みたいで。
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