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第二話 愛の花
◆Once upon a time◆
あるおうこくにお姫さまがいました。
かのじょは愛をさがしていました。
愛をしらないからです。
だから、お姫さまはこくみんにあきれられていました。
いつまでもゆめみがちだと。
そんなお姫さまのところにコトハナのネコがやってきました。
「キミはどうして愛をさがしているの?」
「だってアイってとってもステキなものなんでしょう? ほしいにきまっているじゃない!」
「それってキミがほんとうにやりたいことなの?」
お姫さまはネコのいっていることが、よくわかりませんでした。
それいがいにやりたいことがあるのでしょうか?
「ねえ、お姫さま、キミは愛をみつけたらなにをしたいの?」
はて? ネコはなにをいっているのでしょうか?
お姫さまは愛がステキなものだから探しているのです。みつけたらなにをしたいなんてきまっている。
「…………」
だけど、お姫さまはうまくいえませんでした。
けっきょく、じぶんでもよくわかってないからです。
「じゃあ、キミにこのコトバのタネをあげよう。やりたいことがわかったら、こえにだしていってみて。きっとステキなコトハナをさかせるよ」
そういってネコはお姫さまにタネをあげました。
「あたしはどうしたいんだろう?」
愛がさらにわからなくなったお姫さまはまえよりも愛をさがすようになりました。
「さあ、それはキミにしか分からないことだろう?」
ネコはとなりにいてくれますが、なにもおしえてくれません。
そんなある日、おうこくにどこかのくにの王子さまがやってきました。
王子さまはひとり。王子さまのくにはかいぶつにほろぼされてしまったようです。
「わたしはかぞくを、愛するひとたちを、うしなった。もう、愛なんて、いらない」
かなしみでいっぱいの王子さま。たくさんのひとたちが王子さまにてをさしのべましたが、だれのてもにぎりませんでした。
そうしていくうちにだれも王子さまによりつかなくなりました。
そう、お姫さまいがいは。
「このままじゃ、だめ」
お姫さまはなんども王子さまのもとへおとずれます。
「王子さまはこないでくれっていっているのに、どうしてそれでもあいにいくの?」
「うそよ、うそ。王子さまはほんとうはだれかにたすけてもらいたがっている。愛をおそれているけど、愛をほしがっているの」
お姫さまはきょうもまたじぶんにせなかをむける王子さまにあいにいきます。
「キミは愛をしらないのに? 愛をさがしているのに?」
「ううん。あたし、きづいたの。あたしはとっくのとうに、かぞくから、こくみんから、愛をもらっていたことに」
お姫さまはネコからもらったコトバのタネをにぎりしめます。
「こんどはあたしが、愛をとどけるの!」
まっすぐなこえで、たからかに、お姫さまはじぶんのやりたいことをさけびます。
すると、どうでしょう。
お姫さまの手からきいろの美しいひまわりの花がどんどんさいて、ひろがっていきます。
きづけば、くにいちめんに花がさいていました。
王子さまはおどろきました。
ひまわりの花がたくさんさいていた王子さまのおうこくとそっくりになったからです。
どうじにおもいだしました。かぞくや愛するひとたちはうしなったけど、うけとった愛はまだあるということに。
どうじにきづきました。じぶんに愛をとどけてくれるひとがいることに。
お姫さまは王子さまに愛をとどけたのです。
お姫さまは花をさかせたのです。
「おめでとう。ステキなひまわりの花だね。キミはコトハナを、愛の花をさかせたんだよ」
ネコはうれしそうにわらって、そして、お姫さまにサヨナラを言います。
「それじゃあ、ボクたちはたびにでるね」
ネコはまたコトハナをひつようとしているひとのところへ、たびにいってしまいました。
美しい花がさきほこるおうこくにお姫さまがいました。
かのじょは愛をいつくしむうつくしいしょうじょです。
きょうもかのじょはえがおで、たいせつなひとに愛をとどけています。
これはひまわりのくにの、あるしょうじょの愛のおはなし。
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