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先週と同じ“ビジネスパーソンな人”が、奥から二番目のテーブルに座っている。それは、いい。人は誰だって、来たい時に好きなカフェに来る権利がある。
それは本当にいいんだけれども、あなたの前にあるそれは何ですか。どう見ても、パンケーキじゃないですか。しかも、いちご──いちごとバニラアイスが載っている！！
ショックのあまり、サチエさんの「いらっしゃいませ」に「こんばんは」と返すのも忘れてしまった。よろよろといつもの席に座る。
ビジネスパーソンな人が何となく笑ったような気がして、春菜は彼の方を見た。彼は、すました顔でナイフとフォークを使っている。ふんわりした生地をすくい上げ、口元に運ぶ。
きれいな横顔と手、そして自然な動作が完璧すぎる。男性だというのに、こうしてスイーツを口にしていても実にスマートだ。広告代理店勤務の身としては、このままパンケーキのＣＭにしたいくらいだ。
サチエさんが、テーブルにお水の入ったグラスを置いた。
「今日は何になさいますか？」
「きー！」と叫びたくなった。前回に続いて、これでは真似をしているみたいではないか。だからと言って、違うものを頼むのも腹立たしい。春菜は、感情を抑えて、平板な声で言った。
「パンケーキをお願いします。いちごとバニラアイスのトッピングで」
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