FACT 02

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   *** 「ん──」  すべすべしたシーツとふんわりした毛布の感触が気持ちいい。でも、ちょっと肌寒い。  春菜は、無意識のまま毛布の端をつかみ、肩までぐいっと引っ張り上げた。それから、くるんと丸くなり、そばにある温もりにくっついた。 ──はー、あったか。  ぬくぬくとした心地よさに、また、とろとろと眠りに落ちて──いこうとしたところで、とてつもない違和感を感じた。 ──?  すうっと目が覚めた。春菜は、ぱたんと仰向けになって、うっすらと目を開けた。  陽光が射し込む、明るい部屋。白い天井。シーリングライト。茶色い木製のカーテンレール。どれにも見覚えがない。 ──?  ぽやんとした頭で考えていると、隣で何かが動いた。  何かって、何だっけ。ずっとくっついていた、この温もりは──?  その正体に思い当たった途端に、ばくばくしてきた。隣を見ないように、仰向けになったまま、そろそろと手足を動かして横に移動する。 「落ちないでね」  聞き覚えのある声が、すぐそばで言った。 「ぎゃ」  起きていましたか。 「ぎゃって、それはないでしょう」  毛布の端っこを握り締めたまま、どきどきしながら目だけを横に動かして、声の方を見た。考えていたとおりの人と目が合った。
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