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「え!?」
「お願いします!」
美代子は一気に自分の気持ちを伝えるために体力を使ったのか軽く息を切らした。健治は突然のことに驚いていたが、まっすぐな美代子の告白に、すぐその真剣な想いを受け止めることができた。そして、ためらいがちに口を開いた。
「いや、その、ごめん。俺、今、付き合っている奴がいるんだ。」
「え!?」
「だから、ごめん。」
健治の返事を聞いて、美代子は健治の瞳からたまらず視線を外した。
「そっか。そうだよね。高三になったら恋人ぐらいいるよね。」
しかし、すぐまた美代子は健治を見つめ直した。
「ねえ?聞いてもいい?」
「え?なに?」
「健治が付き合っている人って誰?私の知っている人?」
「ああ、それは、・・」
と、健治がその名前を言おうとしたとき、向こうからドタドタと塩田ノリオが走ってきた。
「お~~~~い!」
美代子は思わず「うわっ」と驚きの声を上げた。
身長が190センチもある筋肉ムキムキのゴリマッチョが走ってこっちに向かってくるのはなかなかの迫力だと美代子は思った。
「見て、健治、ノリオが凄い勢いで走ってくる!」
馬鹿にするように美代子は笑った。しかし、なんでこんなひと気のない旧校舎裏にノリオがやってくるわけ?しかもこっち手を振りながら。と美代子が不思議に思ったのも束の間、健治がノリオに向かって手を振った。
「お~~~い、ノリオ~~!」
「え?健治、なんでノリオに手を振り返しているの?」
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