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キーンコーンカーンコーン、と放課後のHRの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
それを合図に、ある生徒たちは部活の為にそれぞれの部室へ、ある生徒たちは遊ぶために家や学校外へと移動を始めた。成宮健治もその一人だった。
しかし、今日の健治はいつもと違った。いつもは図書室へ行くのが健治の放課後だった。
今日は、ひと気のない旧校舎裏に駆けて行くのであった。
「遅れてごめん、美代子。待った?」
旧校舎裏には女子生徒が待っていた。彼女の名前は長谷部美代子。健治のクラスメイトだ。
「ううん。全然。こっちこそごめんね、健治。急に呼び出したりして。」
「いや、全然。で、話ってなに?」
美代子は急に恥ずかしそうに両手をモジモジと合わせだした。
「う、うん。えーと、その・・・来年は、もう卒業だね。」
「そうだな。」
「卒業すると会えなくなる・・よね?」
「なんだよ、どうしたんだよ、美代子?」
いつもハキハキとしゃべる美代子がらしくない。健治はストレートに尋ねた。美代子は一瞬強く目をつぶると決意したように健治を見つめた。
「あ、あのね、・・・私、・・・私、健治のことが好き!」
「え!」
「高校入って、一緒のクラスで、席が隣りになって、初めて話して、その時から好き!・・好き・・・です・・。」
突然のことで健治は驚いた。
「あ、ありがとう。」
「だから、その、付き合ってください!」
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