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帰り際にエレベーターホールまで見送ってくれた伯母さんは、ショックで肩を落としている私にこう言った。
「歳も歳だし病気もあるから、いずれ亡くなるのは仕方ないとしても……おばあちゃんには一日でも長く生きて欲しいし、幸せな思い出をひとつでも多く残してあげたいの。モモちゃん、いろいろ忙しいとは思うけど、時々はおばあちゃんに会いに来てあげてね。おばあちゃんね、いつもモモちゃんの心配ばっかりしてるのよ」
伯母さんの言葉に胸が締めつけられるように痛んで、溢れそうになる涙をこらえながらうなずき病院をあとにした。
それから私は、光子おばあちゃんを喜ばせて少しでも元気になってもらう方法は何かないかと必死で考えた。
できるだけ頻繁にお見舞いに行くことはもちろんだけど、それ以外に何かしてあげられることはないだろうか。
そんなことを考えながら帰宅して夕飯を食べていると、父が見ていたテレビ番組の途中で速報が流れた。
人気俳優と人気女優が結婚を発表したらしい。
私は芸能にはあまり興味がないので「ふーん」くらいにしか思わなかったけれど、ドラマ好きな母はかなり興奮しているようだ。
「あんな美形な二人が結婚したら、生まれてくる子供はさぞかし可愛いでしょうね」
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