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伯母さんたちが否定してそのときはわかったように見えても、ほんの少し時間が経つとそれを忘れてしまい、また同じ言葉を繰り返していたらしい。
大好きな光子おばあちゃんがそんなにも私の花嫁姿を楽しみにしてくれているのだから、私だってできることならどうにかしたいとは思う。
だけど結婚は相手がいて初めてできることだ。
それでもなんとかできないものか。
……いや、やっぱ無理だな。
病気も認知症もなく元気な状態ならまだしも、余命宣告を受けた光子おばあちゃんの病状は余談をゆるさない状況だ。
私には彼氏どころか好きな人もいないし、結婚を前提に付き合ってくれそうな人を見つけるだけでもどれだけの時間がかかるかわからないのに、光子おばあちゃんの意識がハッキリしているうちに結婚なんてできるわけがない。
がっかりさせないように適当に話を合わせてあげるしかないのかな。
誰かに事情を話して形だけでも式を挙げ、結婚したふりをするということも考えた。
だけどそれだと光子おばあちゃんを騙しているみたいで私自身が心苦しいから、できれば嘘はつきたくない。
成し遂げることはできなくても、せめて結婚するための努力だけでもしてみるべきか?
でも時間をかけずに結婚しようと思ったら、どんな努力をすればいいんだろう?
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