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私たちは金曜の夜になると当たり前のように仲間たちとそこに集まり、ゲーム機片手にお酒を飲みながらバーの常連客も巻き込んでオンラインゲームに勤しんでいる。
私も尚史もそろそろ将来のことを考えて身を固めるようないい歳であるにもかかわらず、浮いた話どころか週末だと言うのにデートの約束もない。
だからと言って私は誰かと恋愛したいなどと思っていない。
自分を取り繕ってまで必死で恋愛ごっこをするより、素の自分を受け入れてくれる仲間と一緒にいた方が何倍も楽しいし、何より背伸びしなくて済む分とてもラクだ。
いい歳をした女が恋愛そっちのけで、漫画やゲームが『三度の飯より好き』などとケチなことは言わず『死ぬほど好き』なんて言うと、性別や年齢を問わずもれなくドン引きされるとわかっているから、私が世間ではヲタクだと言われるレベルで漫画とゲームが好きなことは、会社ではもちろん内緒にしている。
いつものようにキヨのバーに集まった仲間たちと一緒にお酒を飲みながらゲームをしていると、その中の一人の林田くん、通称リンダが私の隣で長く大きなため息をついた。
「どうしたリンダ?きついなら援護しようか?」
ゲーム機の画面から顔を上げることなく尋ねると、リンダも視線は画面に釘付けのままでゲームのキャラを操作しながらまたため息をつく。
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