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キヨは少し寂しそうに笑いながら、リンダがいつも飲んでいるジントニックと、リンダの好きな柿の種チョコを盛ったお皿をカウンターの上に置いた。
「おめでとう、リンダ。これは俺のおごりってことで。まぁ……もうみんなと一緒にゲームできないのは寂しいだろうけど、結婚してもたまには奥さんと一緒に飲みにおいでよ」
「はい、そうさせてもらいます」
こうして仲間が減っていくことは寂しいけれど、生涯の伴侶に選んだ大切な人と幸せになって欲しいと思う。
それはみんな同じ気持ちなのだろう。
「リンダも卒業か、寂しくなるな」と言いながらも、誰一人として引き留める者はいなかった。
なんとなくしんみりした気持ちになりながら挑んだボスに華麗にとどめをさしたのは、リンダの結婚話にもまったく動じていない様子の鬼ゲーマー尚史だった。
そのあとは『大人への階段をのぼるリンダを送る会』のような雰囲気で、いつもより遅くまでゲームをしながらお酒を飲んだ。
店を出る頃には午前2時半をまわっていて、駅前のネカフェやファミレスで始発を待つという人が数人いたけれど、私と尚史の家はここからそう遠くはないので二人でタクシーに乗って帰ることにした。
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