光子おばあちゃん曰く、私は結婚するらしい(初耳なんだけど!)

2/6
前へ
/732ページ
次へ
いつもより道のりを遠く感じながらようやく病院に着き、逸る気持ちを抑えて病室のドアを開けると、傍らには伯母が付き添い、光子おばあちゃんはベッドに横たわって静かに目を閉じていた。 まさかもう……いや、眠っているだけだよね? 「光子おばあちゃん……?」 私がおそるおそる声をかけると、光子おばあちゃんはゆっくりとまぶたを開き、やわらかく微笑んだ。 「あれ、モモちゃん。お見舞いに来てくれたの?おばあちゃん寝てたかね?」 「ごめん、起こしちゃったね」 いつも通り優しい光子おばあちゃんの笑顔にホッとしつつ、ベッドのそばに椅子を置いて座る。 「光子おばあちゃん、なかなかお見舞いに来られなくてごめんね。具合はどう?」 私が手を握りながら尋ねると、光子おばあちゃんは以前より弱々しい力で私の手を握り返した。 「相変わらずだけどねぇ、今日は少しいいみたいだよぉ。モモちゃんが来てくれたから、いっぺんに元気になれそうだ」 「ホント?良かったぁ。だったらこれからはもっと会いに来るね」 私がそう言うと、光子おばあちゃんは私の手をポンポンと叩いた。 「嬉しいねぇ。でも無理しなくていいんだよ。モモちゃんはお仕事と結婚式の準備で忙しいんだろ?」 「……えっ?」 その言葉に驚いて顔を上げると、伯母は声には出さず口の動きだけで「話を合わせてあげて」と言った。
/732ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2830人が本棚に入れています
本棚に追加