ヲタクだけど何か問題ある?

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ヲタクだけど何か問題ある?

午後5時30分。 定時のチャイムと共にポケットの中でスマホの通知音が鳴った。 「お疲れ様です」と言いながら席を立ち、スマホをポケットから取り出してトークアプリの画面を開く。 【お疲れ。今日はキヨんとこ行く?】 金曜の夜恒例の招集だ。 私は素早く画面の上に指を滑らせ返信する。 【行く。これから会社出るとこ】 【じゃあいつものとこで】 メッセージの送り主は幼馴染みの中森 尚史(ナカモリ ヒサシ)。 家がすぐ近所で母親同士が仲良くしていたこともあり、私たちも物心ついた頃にはすでに『お友達』だった。 幼稚園から中学までを同じ学び舎で共に過ごし、高校と大学こそ違ったものの、社会人になってからは偶然にも同じビル内にある別の会社で働いている。 エレベーターで1階まで降りて、エレベーターホールの少し先で待っていた尚史と一緒にビルを出た。 「今日は遅くなってもOK?」 「明日休みだし大丈夫」 「そりゃ助かる。期待してるわ」 これから向かう先は小学校時代からの同級生の松田 清孝(マツダ キヨタカ)、通称キヨの父親が経営している小さなバー『シューティングスター』。 キヨは父親からその店のマスターを任されている。
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