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真由さんと明さんの顔を見る。
気になる人……いるけれど、でも。
それがどういう意味で気になるのかがよくわからない。
「なに?どうしたの?」
「気になる人……います」
「えっ、だれだれ?」
真由さんと明さんはわたしの顔を覗き込んだ。
「でも、どうして気になるのかまだよくわからなくて。名前までは……ちょっと」
パパとも違う。奏さんや仁さんとも違う。玲央兄や那央とも。
わたしの周りの人とも違う。
わたしに新しい世界を見せてくれた目の前にいる人がわたしにとって気になる人だった。
「じゃあ、気になる人がいるのでってその学生さんに告げるだけでいいわね。きっとわかってくれるわ」
真由さんはにっこりとわらった。
明さんもそうだねって笑う。
それから数日が過ぎて、手紙の学生さんがお店にやって来て同じ席に座った。
いつものメニューを頼んでからわたしを見上げた。
「手紙……読んでくれたかな?」
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