薄紅の恋

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そしてそれからアルバイトのある日は明さんが送ってくれるようになった。 遅い時間ではないのにそこまでしてもらったら……と言ったら、 「榊さんが本を貸してくれるって言ってくれたんだ、ちょうどいいから」 「本?」 「歴史好きにはたまらない本とか経営に関するものとか」 明さんは小さく笑った。 車がそばを通りすぎる瞬間に、明さんがいつも車道側を歩いてくれてることに今頃気づいた。 優しいだけじゃなくて 時には慌てたり真由さんとのじゃれ合うようなやり取りも見てると楽しい。 明さん目当てに来るお客様にも分け隔てなく笑顔で接してて、ステキだなって。 側にいたいな。 夏休みだけじゃなくてその後もアルバイト続けられたらいいのに…… 「美羽ちゃん?」 ボーッとしてた。 慌てて顔を上げると、 「そうだね。美羽ちゃんがバイト続けてくれたらこっちも助かるんだけどな」 口から独り言出てたんだ。 明さんはそんなわたしの顔を見てまた笑った。 歩いて道の角を曲がると、わたしにラブレターをくれた学生さんが立っているのが見えた。 その後も3日に一度はお店に来てくれていた学生さんはわたしの家の近くに住んでたのかな? 「美羽ちゃん!!」 名を叫ばれて、ハッとした。 突然、目の前に走ってきたあの人の手に持ってるモノが鋭い光を弾いてた─── 避けられない!!
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