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ドキン
鼓動が跳ねた。
「勝手なことしてゴメン。美羽ちゃんの気持ちを無視してた」
そんなことない。
明さんがわたしを庇っていなかったら、刺したあの人は救われなかった。
明さんはわたしもあの人も救ってくれた。
また店に来て欲しいと言ってくれた。
今度会う時にはきっとまた優しく笑い合えると思う。
そう願ってる。
「美羽ちゃんが怖い目に遭った本人なのに。……ゴメン」
「明、さん……」
腕の中は優しさに溢れてる。
その優しさはあの人が人を傷つけるのを止めてくれた。
「明さんが言ってくれたこと嬉しかったです。わたしの気持ちとそのままで。だから謝ったりしないで」
「美羽ちゃん……」
それよりも明さんの傷の手当てが先だった。
血を止めなきゃ。
「傷口を見せてください。ハンカチで腕を縛って病院行かないと」
明さんの腕を見た。
シャツは裂けて出血はあるけど、刺さったのではなく擦っただけで深くなかったのが幸いだった。
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