薄紅の恋

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*** 「美羽、夏休みにバイトするってホントなの?美羽のお父さんよく許してくれたね?」 そう、驚いたのはわたしも同じ。 バイトは駄目だって反対されると思ってたから、すんなりOKが出て拍子抜けしたくらい。 「ただし、夏休みの間だけって約束だけどね。家に帰るのが遅くならないっていう条件で」 「あ、それ、うちも同じだよ」 一緒に月子ちゃんと笑う。 バイト先は駅の近くの雰囲気のいいカフェで、パパたちも通ってるお店だった。 今日の放課後にはバイト先のお店に挨拶に行くことになっていた。 「こんにちは。真由さん。明日からお世話になります。どうぞよろしくお願いします」 お店のオーナーの真由さんはとても優しいお姉さん。 幼い頃からのわたしを知っててわたしのアルバイトに喜んでくれた人。 パパの絶対の信頼を受けて今日も笑顔で迎えてくれて、お店に入ると優しいコーヒーの香りがした。 「いらっしゃい、美羽ちゃん。明日からよろしくね」 真由さんは憧れの人。 ママのお友達でもある。 お店はいつも常連客が寛いでいて、わたしの大好きな空間だった。 「まずは美羽ちゃんの好きなミルクティーを飲みながら話しましょう」 真由さんはわたしのお気に入りの場所へと誘って席についた。 わたしも一緒に席に着くと、 「待っててね。今、紹介したい人がいるから」 真由さんはにっこり笑った。
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