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大柄な男が立ち上がるとわたしの遥か上に頭があった。
大男はそばに置いてあった観葉植物を蹴飛ばした。
「やめてください、お店がぐちゃぐちゃに!」
「あ?誰だ、おまえ。邪魔すんなって…
…ふーん、可愛い顔をしてるじゃねえか。戦利品としてもらってくか」
いてもたってもたまらずに走り寄ったわたしの顎を大男が、むんずと掴んだ。
いやらしさを含んだ目で見下ろされて背中が冷たくなる。
「お客様、その手を離してください」
明さんは涙目になったわたしから大男の腕を振り払い、背中に庇った。
「従業員に触れるのも、店で暴れるのもお止めください。他のお客様にご迷惑です」
「はあ!?誰にものを言ってるんだ?もういっぺん言ってみろ!」
大男は凄んで明さんを睨み返した。
辺りに響くほどの大声にわたしの足が震えた。
「他のお客様にご迷惑です。お帰りください」
毅然とした態度を崩さない明さんは大男に胸ぐらを掴まれた。
「俺たちに帰れだと?俺たちを誰だと思ってんだ!俺たちはな!」
「『龍神会の恥さらし』そう、だよな?」
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