薄紅の恋

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後ろから声がして、振り返ると上品なスーツを少し着崩した奏さんが店の入り口に立って面白そうにこっちを見ていた。 その横にはふたり。 ひとりは指の関節をボキボキ鳴らして、もうひとりは品定めをするみたいに。 「龍神会の恥さらしだと!?今、しゃべったヤツ誰だ!!」 「か弱い女、子供つかまえて大声で怒鳴るのが恥さらしじゃなきゃなんだっていうんだ?独りじゃ何にも出来ねぇくせに」 奏さんがゆっくりと歩いてくる。 奏さんはパパの親友で……大神組の 奏さんは明さんの胸ぐらを掴んだその腕に手を掛けて一気に捻り上げた。 鈍い音と大男の絶叫がして大男は捻れ曲がった腕を押さえて床に転がった。 「手応えもねえな。次は?」 「てめえ、ふざけんなよ!」 顔を真っ赤にした痩せた男はポケットから折り畳みナイフを取り出して刃を出すと振りかざして見せた。 「まったく…呆れてものが言えねぇな。これだから龍神会の奴らは。仁」 「あいよ」 奏さんが仁さんに声を掛けると、嬉々として痩せた男の前に立った。 「とりあえず店から出ようか。大人しく出てくれたなら、少しは手加減してやるけど」 「なに、をっ!!」 今にも噛みつきそうだった痩せた男の顔色が途中で変わった。 仁さんが意地の悪い笑みで指の関節を鳴らした。 「わかったなら話は早いよな」
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