舌を噛んで...

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舌を噛んで...

前ページの施設M社のA施設で、M社を私が辞めるきっかけになった出来事です。 88歳のM子さん、彼女が泣きながら話してくれました。 「あなたにだけ聞いて欲しい。」 「あなたが移動していた時に、  舌を噛んで死のうとしたの。」 「でも、死ねなかった。」 「一年経っても、まだ舌が痛い。」 私は涙が出ました。 M子さんにそんな思いをさせた職員が許せませんでした。 M子さんは、私が入社する前から入居されています。 A施設は、開設して3年の新しい施設です。 M子さんは、ご主人と二人部屋に入居されていました。 私が入社する前に、ご主人は他界されました。 息子さんは、静岡に住んでいらっしゃいます。新幹線で面会にいらっしゃいます。 大学教授をされていると聞いています。お金はある方だそうです。 A施設は、トイレはもちろん、キッチンとお風呂が付いた広い居室です。 その為、家賃が高いので食費5万円込で、毎月25万円位かかります。 その他に、介護保険の自己負担金、M子さんのお宅は収入が高いので3割だと思います。 介護保険の枠を越えて自費で10万円以上支払っていると、ケアマネさんから聞いています。 M子さんは、車いすかベッドで過ごしていらっしゃいます。 認知症はなかったと思います。 私がA施設からO施設に1月から6月迄移動していて、A施設に戻って来た時に、私の名前を覚えていて下さいました。 「あなたが戻って来てくれて、よかった。」 と、仰って下さいました。 「舌を噛んで死のうと思った。」 そう思わせた職員Aさん60代女性の話。 M社を辞めるきっかけになった職員Oさんの話。 次回、書いていきます。
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