155人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
スマホが震える音で目を覚ました。
受信したメッセージに既読を付ける。
『おはようございます、ナナ先生』
今時の若者とは思えない、飾り気の無いメッセージに笑みが溢れる。
『おはよう』
手短に返信をすれば、すぐにメッセージは返ってくる。
『金曜日ですね、週末まで一日頑張りましょう』
『実誓も今日の小テスト頑張れ』
『ありがとうございます。頑張ったらご褒美くれます?』
『考えとく』
『前向きに検討して下さいね。今日も好きです』
『俺も』
好き。と文字にしようとして、気恥ずかしくなって止めた。
きっと今頃、スマホの向こうで膨れてるはずだ。
と、思ったら、立て続けにスマホが震える。
『え?』
『俺も?何ですか?』
『え?俺も?何ですか?』
連続で届く実誓からのメッセージ。
これはちゃんと文字にして返さないと、更にメッセージが続くことになりそうだ。
俺は改めて、言葉を文字に変換し、電波に乗せて送り出す。
『俺も好きだよ、実誓』
最初のコメントを投稿しよう!