初恋

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後から僕の家にやって来た凜の妹らしい女性は、見た目は確かに凜と似ているような気がしないでもないけど、醸し出す雰囲気が違い過ぎた。ホントに二人は姉妹なの?凜が話したがらなかった妹。二人の関係性は容易に想像できる。 空港で連絡をとったセラ ソウマは何度も僕にお礼を言った。クールな冷たそうな雰囲気は全く消えていて、心から安堵しているような感じだった。出来れば、凜から言われたかったけど。凜は体調、大丈夫なんだろうか?心労? 翌日の遅くには彼は僕の家にやって来た。凜の妹、リコっていうらしいけど、彼女を見た時のソウマは、怒りを抑えるので必死だったみたい。ノアを目の端で確認した彼は、リコを一瞥すると右腕を左腕で必死に押さえたまま、深いため息をついて一度外に出て行った。戻ってきた彼の右手はハンカチが巻かれていた。木を殴りつけていたと、後で父親が教えてくれた。流血する勢いって、どれほどの怒り? ソウマはノアを大事そうに膝の上に抱き上げると、その後ずっと優しくノアの髪を撫でていた。ちょっと神経質そうな長い指先。きっと彼はその指で同じように凜に触れるのだろう。 一度そう考えてしまうと、僕は嫉妬に体中が支配されていくように感じていた。 やっぱり僕は彼のことが好きになれない。 キライだ。とても。とっても。
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