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ノアはマシューが好き
夜も遅くなり、ノアは昨晩と同じように僕の部屋で寝ようとした。それを見たソウマは少し寂しそうな顔をしたように思う。察したノアがソウマのそばに走り寄る。一言、二言彼に告げると、僕の所に戻ってきた。ソウマはノアに軽く手を振っている。
僕の部屋のベットの上で楽しそうにジャンプしているノアに声をかける。
僕の英語、わかるかな?
「ソウマに何て言ったの?」
ちょっとノアが考える仕草をする。英語だと難しいのかな?いつも凜が間に入って訳してくれているけど。
「日本に帰ったら、パパと一緒寝てあげるって言った」
たどたどしい英語で答えてくる。多分、彼の言ったのはこうゆう意味だと思う。パパか。ジョーイはパパじゃないの?ちょっと寂しくなってしまう。もう忘れられちゃったのかな?死んだら負けじゃん。
「ソウマはパパ。ジョーイはダディ」
僕の気持ちを察したようにノアは言う。ノアは優しい。人の気持ちの動きに敏感なのかもしれない。そこは凜に似たね。凜は自分に向けられる気持ちには鈍感だけど。
「ノアはソウマが好き?」
頷きながら、僕を見る。
「マシューも好き」
ノアは僕の胸に飛び込んでくる。こんな真っ直ぐに気持ちを伝えられたら、どんなにいいだろう。胸の中にある熱の塊を僕は優しく抱きしめた。
凜をこんな風に抱きしめたいと思いながら。
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