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ソウマはお子様
ちょっとの間、車の中は静寂が支配した。
それに耐えかねたのか、前を向いたまま、ソウマは口を開く。
「ジョーイはスゴイ。自分が死んだら、凜とノアのことを頼むと言われたんだよ。凜は頑張り過ぎるからって。そんなこと言われた後に、ジョーイと握手なんかできる訳ないだろう。人間の器の差を感じさせられた。俺には出来そうにない」
だから握手できなかったの?
「俺の方が凜との付き合いの年数、ジョーイよりずっと長いし。でも、あんな風に言われちゃうと、逆に手を出せなくなった。」
牽制したのかな、ジョーイ。それはちょっとズルいような気もするけど。
「ジョーイは凜と結婚してノアまで授かった相手だから特別だよね。僕のチチオヤだし。」
少し意地悪してもいいよね。僕の大切な凜を手に入れようとしているんだから。
「十分過ぎるくらい、自覚してる。それでも俺は凜を手に入れたい」
ちょっと不貞腐れ気味に答えるソウマは僕の気持ちと変わらないのかもしれない。
この人、案外、正直なんだね。
凜、ホントにホントに悔しいけど、ソウマのこと、少しだけ、ほんの少しだけなら認めてあげてもいいよ。
僕が大人になるまでの凜とノアのためのセキュリティー役としてなら。
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